lacolaco

唐揚げとアニメとプログラミングが大好きです

AngularにおけるListComponent/ListItemComponentの設計

Notionに書いた。

www.notion.so

余談。Notionのほうが書きやすいし読みやすいんだけど、ブログとしての体裁(シェアしやすいとかそういう)が無いのでどうしようか悩む。 Notionで書いてリンクだけブログに貼っていくのどう思います?

読後メモ: 落合陽一著「日本進化論」、高島宗一郎著「福岡市を経営する」

今年の2冊目と3冊目をまとめて読後メモ。

田村秀氏の「地方都市の持続可能性」を読んだので、別の目線で日本を見た落合陽一氏の「日本進化論」と、ひとつの地方都市の内側からの目線で書かれた高島宗一郎氏の「福岡市を経営する」を読んだ。

lacolaco.hatenablog.com

落合陽一著「日本進化論」

日本進化論 (SB新書)

日本進化論 (SB新書)

そこそこにおもしろかった。 落合氏の言説は以前から特に変わっておらず、人口減少こそ機械、AIによる自動化の大義名分であり日本がこれからテクノロジーで進化するためのチャンスであるという話だった。 この本の中心になっているのは「ポリテック」で、技術で政治をアップデートすることから日本の進化が始まるという主張だ。

日本の政治の問題点は次のように述べられている

巨額の債務を抱える政府と既得権益に執着する企業に阻まれ、なかなか未来のための投資に踏み切れていない日本

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戦後につくられた社会制度の多くが耐用年数を過ぎて劣化し、様々な局面でポリティクス(政治)が機能不全を起こしている現状

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もっと低いレベルの話をすると、そもそも今の日本の政治は、テクノロジーにオープンではない。たとえば国会で、本会議はパソコン持ち込みはダメ。委員会で認めていないところもある。議論に必要な調べ物をするために会議中にスマートフォンを触っているだけで嫌な顔をされる

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主要国の中で唯一Ph.D取得にお金がかかる国でもあります。  結果、日本の博士号取得者数は減少するという、世界的に見ると異例の事態を招いてしまっているのです

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まとめると、わが国のリソース投下には2つ大きな課題があります。1つは、シニア層と過去へのリソース投下があまりにも重く、未来に投資できていない点。2つ目は、インフラ投資があまりにも重くて、都市集中型の未来しか描けていない点

これを打破するためにポリテックのムーブメントが必要だというのが落合氏と、対談相手の小泉進次郎氏の主張だ

政策が決められる過程で出てくる政治・経済といったあらゆる論点の中に、「テクノロジーの観点から見るとどうなのか?」といった視点を新たに加えたいのです。これは医療におけるセカンドオピニオンのようなものと考えるとわかりやすいと思うのですが、そうすることで、政策の意思決定過程に多様性が生まれる

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語られる環境を整備するのは大切です。たとえば、金融界では誰もが口を揃えて「フィンテック」の重要性を叫んでいる。それを「わかった気になっているだけなんじゃないか」と批判する人もいますが、僕はそれをあまり否定的に捉えていません。「フィンテック」という言葉が普及しているだけで一歩進んでいると思うからです。議論に上がるのとそうでないのでは大違い

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僕はまず、このポリテックという言葉をみんなが使うところからスタートすべきだと思います。言葉は魔力を持っています。最初のうちは意味がはっきりしないまま、ただのバズワードとしてツイッターでつぶやかれるだけかもしれませんが、そのうち人々の間で共通の観念が育まれ、言葉への理解が深まることで、そこから地に足が着いた議論がはじまるのを期待したい

5Gや日本版GPSなど、具体的なテクノロジーの進歩の話もあるが、大枠としてはポリテックという概念を定着させようという思いが見られる本だった。

ただし、ネットワークの進歩によりどこでも働けるようになるから地方にもチャンスがある、というのは「地方都市の持続可能性」を読んだあとでは楽観的に映った。

テクノロジーを活用すれば、「どこでも学べて、どこでも働ける」状況をつくり出すことができます。すると、今後は地方のほうが有利なケースも次々に生まれてくる。食や自然の魅力も今まで以上に人を呼び込む力になる

高島宗一郎著「福岡市を経営する」

現福岡市長の高島氏による出馬から今に至るまで、何を考え何を行ってきたかを語った本。高島氏の著書はこれが初。

福岡市を経営する

福岡市を経営する

非常におもしろかった。おすすめ。 アナウンサーからいきなり地方都市の市長になった高島氏がなぜここまで福岡を急成長させられたのか不思議だったが、この本を読むと納得できた。 福岡に興味のある人はぜひ読んでみると良いと思う。

心構えや考え方などの話が多いが、これまでに取り組んできた施策、活動の裏話もある。

私もひとりの人間ですから「大変だな」と思うこともあります。そんなとき私は「よし、市長を辞めよう」と自分に言ってみるのです。私は誰から強制されたわけでもなく、ただ自分の意志で立候補しただけ。私の人生だから、私の自由。「ならば辞めたらいい。次にやりたいという人はいくらでもいるから、心配しなくていい」と、自分に言い聞かせるのです。 ... (中略) ... すると「いや、やっぱり、辞めるわけにはいかない」と思い直すのです。そして「自分はこの仕事をしたいのだ」と決意を新たにします

この本で語られているが、高島氏の目的は日本を活性化することであり、そのためには地方が自立して活性化することが重要だと考えている。 他の地方でも若い首長を増やすことで、若い世代の力で日本を変えていこうということを繰り返し述べている。

日本社会にもっとも足りないダイバーシティは「意思決定層に『若者』がほとんどいない」ことだと思っています。 これは企業でも政治の世界でも同じです。若い人たちに理想の社会のイメージがあるなら、誰かが行動してくれるのを座して待つのではなく、若い自分たちこそが立ち上がって世の中を変えればいい

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この本を通して、私の経験をみなさんとシェアすることで、全国の若者はもちろんのこと、行政とは関係のない他業種からも、市長や知事に挑戦しようという人が増えることを心から期待しています。若い首長がスピーディーに各地方を変えていくことこそ、日本を最速で変えていくもっとも合理的な方法だと思うのです

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日本という国は、それぞれ個性の異なる地方の総体であって、地方都市がそれぞれの個性で最高に輝くことで、結果的に、国が宝石箱のように輝くことができる。 つまり、地方都市をよくすることが、最速でこの国を変えることになる

この一節は、非常に高島氏の本心が現れている気がした。

有識者と呼ばれる人たちが「これからは成長ではなくて成熟である」などと、したり顔で解説しているのを見ると、嫌悪感を抱きます。 私たちの世代は、高齢化時代の福祉を支えるためだけに生まれてきたわけではありません。理屈や理論ではなくて、現実に成長・成功する喜びを感じたいのです。アジアをはじめ、世界を見渡すと、責任世代である同世代の人たちが、夢を持ってビジネスを大きく成長させようとしています。そういう成長を我々も夢見たいのです

福岡市の発展は、政令指定都市の裁量と、国家戦略特区の自由の2つが合わさったことが重要だと思う。 現代において都道府県という単位の位置づけが微妙になっていることは「地方都市の持続可能性」の中でも述べられていた。 だからこそ道州を設置し、県を廃止することで大阪市や福岡市のような都市がより動きやすくなるのだと思う。 高島氏も、次のように述べている。

私はこのようなチャレンジを行なううえでは、県並みの「権限」から基礎自治体としての「現場」までを一気通貫に持つ「政令指定都市」がもっともロールモデルを作りやすいと考えています。 しかも、福岡市は国家戦略特区ですから、内容によっては国の規制緩和も適用されます

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国政とは異なり、予算権と人事権を直接選挙で選ばれた首長が握る地方は、国よりもスピーディーに物事を変えることができる

また、本のタイトルにもあるように高島氏は経営者のように政治を行なっている様子が見て取れる。特に民間とのコラボレーションには積極的で、いかに税金を使わずに効果を上げられるかの戦略がうまい。

市長に就任して最初に行なったのが、広報、報道部門を束ねて「広報戦略室」に衣替えすることでした。「どの媒体に行政のお知らせを掲載するか」などという牧歌的なやり方ではなく、ターゲットに合わせて、伝達するコンテンツや時期、媒体などを戦略的に選び、市役所組織としてその情報発信のノウハウを蓄積するようにしたのです。

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企業において労働生産性の向上が大きな課題であるように、行政においてもその課題の重要性は変わりません。それは地方自治法にも「最少の経費で最大の効果を挙げなければならない」と記されているとおりです。そしてその実現のためには行政として民間ノウハウの活用は必須ともいえます

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市民が自ら参加することでシビックプライド、つまり住んでいる街への誇りにもつながるでしょう。行政だけがまちづくりをするのではなく、市民や企業、NPO、大学生などのみなさんと一緒にまちづくりをする。これは間違いなく、世界のトレンドになっていくはず

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行政がこれまでしていたことを市民と一緒にやることで、自分の街に対する誇りと愛着が強化され、さらに税金をできるだけ使わずに持続可能ないいまちづくりが実現できる。これはとてもすばらしいアイデアだと思いました。「他の誰か」ではなく、「自分たちで」街をいい方向に変えていくのです

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これからは、民間の活力を最大限に活かしながら課題解決をしていくことが大切になります。そのためにも、規制緩和で民間が活躍できる「あそび」の部分を作りながら、市民にとっても企業にとってもウィンウィンになる施策をできるかどうかが重要です。もはや都市間競争は税金の投入ではなく、知恵比べの時代なのです

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新しいビジネスを生み出すのは起業家ですが、社会がそれを受け入れるかどうかを規定するのは政治なのです。法や規制を緩和させるためには、行政と首長、議会の力学、さらには官僚、政治家の行動原理を理解する必要があるのです。 政治家も経済を知る必要がありますが、同じように経済人も政治を知る必要があります

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福岡市は、このようなテクノロジーを支えるエンジニアに注目しています。そして2018年に「エンジニアフレンドリーシティ福岡(Engineer Friendly City Fukuoka)」宣言を行ない、優秀なエンジニアが集まり、活躍し、成長できる取り組みを、行政とエンジニアで一緒にスタートしました。優秀なエンジニアがいるからこそ、とがったビジネスを形にすることができます。スタートアップがユニコーンに成長するためにも、世の中を変えて行くような新しいビジネスやサービスを次々に世に送り出すためにも、優秀なエンジニアの存在は極めて重要なのです


次は少し毛色を変えて、MaaS (Mobility as a Service) についての本を読むことにする。

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

今年に入って3冊、日本や地方都市の持続性についての本を読んだが、地方都市と都心の最大の違いは公共交通機関の力だと感じている。人間が移動しやすいということは企業にとっても人にとっても、経済活動の中心としては必須だろう。しかし東京並の公共交通機関は金の面でも人口の面でも他の都市では真似できない。そこでMaaSが地方都市が持続的に発展するためのキーになるんじゃないかと踏んでの一冊を選んだ。

読み終わったらまた読後メモを書く。

技術顧問デビューしました

すでにTwitterではお知らせしましたが、技術アドバイザーとしてClassiさんをお手伝いすることになりました!

t.co

Angularを中心に、Webフロントエンドについてのアドバイスをします。

きっかけ

例によってTwitterです。ほんとうにDMが来て、何度かオフラインで話して、年明けてから決まりました。

Twitter以外で仕事見つけたことないと言っても過言じゃない気がする

がんばります!

次世代Webカンファレンス振り返りと、話さなかったネタ集

次世代Webカンファレンス、お疲れ様でした!

nextwebconf.connpass.com

ありがたいことに2015年に続き、フロントエンドのセッションで登壇させてもらいました。 楽しかったですが、やはり80分のなかで話せることは限られますね... 次世代らしい話を求める期待に応えられたかはわからないですが、僕個人としては「まだ話せたな」というのは正直なところですね。 kobaさん、kazuponさん、takanoripeさんとはまたじっくり話したいです。

動画はYouTubeにアップロードされています。

www.youtube.com

内容の振り返りはひとりでやっても仕方ないので、当日に備えて用意していたネタ帳を一部公開してみます。

Webアプリケーション開発における "当たり前" の水準の変化

ちょっとだけ話せたネタ

  • 型がある開発は当たり前になってきた
  • 状態管理というものを気にするのが当たり前になってきた
  • コンポーネント設計(分類)をするのが当たり前になってきた
  • 無料のHosting、CDN
  • 無料で使えるVS Code
  • 無料のHTTPS
  • 次の当たり前はなんだろうか
    • Web WorkerやTaskletを使ったマルチスレッド化 GoogleChromeLabs/tasklets
    • チャンク分割と遅延読み込み
    • 今はまだ職人芸が必要でも、AIに仕事を奪ってもらうことで当たり前になる
    • 今の「やりすぎ」は次の「当たり前」になる。要求も上がる。そうして水準は上がっていく。

仕事の専門化、細分化、先鋭化

まったく話してないネタ

  • バックエンドのサーバーレス化が進んだ先にLambdaやCloud Functionなどを扱うのは今のフロントエンドエンジニアになりそう。そうじゃないとUIだけではユーザー体験の改善に及ぼせる影響は限られるから。
    • 今のバックエンドエンジニアの仕事の一部はフロントエンドエンジニアの範囲になるんじゃないか。Node.jsバックエンドがだんだんと市民権を得てきているし、自然とそうなっていく気がする。
    • そうなったとき、今のフロントエンドエンジニアもまた分裂しそう。レイアウトやCSSと向き合うフロントエンドofフロントエンド的な仕事と、アーキテクチャビジネスロジックと向き合うだろうバックエンドofフロントエンド的な仕事。その細分化の流れはこれから進みそうな気はする。

「Webらしさ」

これもまったく話してないネタ

  • 最近気になっていること:本来は静的なコンテンツを、アプリケーションとして実行しないとアクセスできなくなることへの危機感
    • Wordとかと同じ。コンテンツはそこにあるはずなのに、Officeがインストールされてないと読めない
    • HTMLもそうじゃんって言われたらまあそうなんだけど...
    • 20年前のテキストファイルにはアクセスできるのに、去年のWebメディアの記事がJSのエラーで読めない、とか。
  • 静的なコンテンツは静的にアクセスできることがWebがWebらしくあるために自然な形じゃないか。Webとは誰でも自由にコンテンツを作れて、そのコンテンツ同士のリンクが網目のようにつながっていくことで作られていくことに本質があるんじゃないか。
  • だからどうしようっていう考えがあるわけじゃなくて、単に気になってるだけ。旧世代Webじゃんって言われたらそうかもねってなるんだけど、個人的には諦めたくない。
  • ちょっと違う話。これは完全に夢なんだけど。ブログ、TwitterFacebookTiktokYouTubeなどさまざまなプラットフォームに分散した様々なコンテンツ同士をWebとして結びつけるのに、Web Componentsの可能性を考えている。
    • Tiktokが提供するタグをブログに置いたら動画プレーヤーが貼れるとか、Instagramに投稿した写真もタグで貼り付けたり。記事の引用なんかもタグを貼ることでただのリンクじゃない体験を与えられるかも。 <a> タグをアップデートできる存在じゃないか、という気はしている。iframeでもできたけど、より洗練された形に。
    • フレームワークやライブラリを隠蔽する境界としてのWeb Componentsという話はちょっとしたけど、さらにコンテンツのプラットフォームを隠蔽する境界にもなり得るんじゃないかっていう話

これ、前日にあれこれ考えてたらひとつ記事になっちゃったので、次世代のAngularについてはこっちを読んでください。

lacolaco.hatenablog.com

基盤の話

これもまったく話してないネタ

  • ブラウザは基盤だけど、さらに下の基盤も変わりそうだし思考実験くらい始めておいてもいいんじゃないかな、と思っている。
    • 5Gが当たり前になったとき、やらなくてよくなること/やらないといけなくなること って何があるだろう?
    • QUIC (HTTP3) が当たり前になったとき (以下略)
    • VR空間内でWebブラウザが開かれるようになったとき (以下略)
      • ブラウザがユーザーの背後にあることだってありえる。操作音の設計とか考えなきゃいけないんだろうなーとか。

GDPRとか。プライバシーの話

これもまったく話してないネタ

  • 今は人間が頑張って対応した・してる・しようとしてる
  • Cookie使うときにブラウザが自動で同意求めてほしい気もする。
  • これも新しい当たり前になるかも?

だいたいこんな感じのことを前日までぼんやり考えていました。

GoogleApple、あるいはFacebookとか、シリコンバレーが作る潮流にどうにか付いていって波を乗りこなそう、という受け身な態度になりがちですが、 Webの多くはオープンソースだし、通るかどうかは別としてたいていのことには意見できます。 まだ誰にも答えがないことこそ、日本でも議論する機会があれば議論して、どういうWebを作りたいかを積極的に訴えて変えていく姿勢も必要ですね。

日曜日に寒い中、朝からカンファレンスに来るほどみんなWeb大好きなんだから、 「Webがどうなるか」だけじゃなくて、「Webをどうしたい」をみんなで考える2019年にしていきたいと思う、いいイベントでした。

それでは。

「地方都市の持続可能性」(田村 秀, ちくま新書)を読んだメモ

2019年最初の読書は、2018年11月に出版された田村 秀さんの「地方都市の持続可能性 」

地方都市の持続可能性 (ちくま新書)

地方都市の持続可能性 (ちくま新書)

これは去年読んだ「行政学講義」の影響。 日本の国政と地方自治体の都市政策の間の関係に関心が湧いたので、まずは地方都市を中心に見た日本の姿を知ろうと思ってこの本を選んだ。

行政学講義 (ちくま新書)

行政学講義 (ちくま新書)

出版社のバイアスもあるはずなので、ちくま新書ばかり読んでる人にならないように気をつけたい...

本全体を通しての感想

著者自身の意見は少なめであり、数値データと都市の歴史を組み合わせた上で「なぜ今この都市は栄えて/衰退しているのか」を捉えていく過程は、納得感があってよかった。

けっして地方都市や日本の未来を楽観視はしないが、逆に悲観しすぎることもない論調。 夕張市を筆頭とする衰退する地方都市に隠れ、北海道三笠市のようにここ数年の政策によって若年層の誘致が進んでいる自治体もある。 これらの地域の間にどんな違いがあるのかを、個別のケースの特徴を押さえながら学んでいけた。

やはりポイントとなるのは東京一極集中による悪循環。経済だけでなく災害に強い国を作る上でも、中央官庁の分散は必要そうだと感じた。 地方都市の現状を客観的なデータをもとに知るにはおすすめの一冊だった。ぜひおすすめしたい。

内容のざっくりしたまとめ

第一章 データに見る東京ひとり勝ち

  • 国勢調査や各省庁、地方自治体などが公開している様々な数値データをもとに、現在の東京がどれだけ「ひとり勝ち」しているかを客観的に見る章。
  • 人口だけでなく経済活動、その他あわせて7つの指標で比較するが、時系列ごとの変化率も踏まえての評価は、著者の地道な労力を感じた。データそのものは誰でも手に入れられるものだが、このまとめ方はなかなか真似できないと思う。
  • 人口は3000人に満たない小さな漁村だが、北海道猿払村は徹底した資源管理で日本一のホタテ産地となり、稼げる漁業を実現している。村民の多くは高額所得者で、多いときでは村民の平均所得は780万円を超えることもあった。高齢化率も全国平均を下回り平均年齢は約45歳。稼げる仕事があれば地方でも若者は集まってくるし、小さくてもコミュニティは持続する、ということは間違いではなさそうだ。
  • また、人口が少ないが栄えている事例として大企業を誘致する例もあったが、これはその企業の城下町となり、企業の業績で地域が衰退することもあるため、諸刃の剣だ。
  • 東京に人口は一極集中しながらも、出生率は東京が最低であり、少子高齢化の原因の一端ではないかという考察。

第二章 誰が都市を殺すのか

  • 国や地方自治体がおこなう政策が都市に与える影響を考える章。
  • 2045年の数値予測を見ると、人口減少は一律に進むわけではない。 秋田県2045年には2人に1人が高齢者となる。東北地方自体の存続が危うい。
  • もっとも人口減少数が顕著なのは大阪市。2015年から2045年で28万人以上減る。大阪市に続くのが長崎、横浜、神戸、北九州などの政令指定都市や、横須賀のような軍港都市
  • これらの衰退に対してこれまで国は何をしてきたのか。

平成の大合併とはなんだったのか

  • 平成の大合併とはなんだったのか。単独では財政基盤が維持できない自治体が合体することを国が推奨し、補助金を出した。国主導であったことがポイント。
  • 合併について、行政側は業務の効率化を肯定的に見る声が多いが、合併により広域化した自治体のなかで中央部と周辺部のサービス格差が広がり、かえって活力を低下させているという住民側からの評価もある。
  • 本来合併すべきは、ともに栄えている地域同士を統合することで類似施設の無駄をなくすといった効率化を促す方向性であるはずなのに、弱者連合のように進められた平成の大合併は市町村がもともと担っていた住民に対する細やかな行政サービスを減らす方向に作用する。これを国が推進したことで地方衰退が進んだという見方。
  • 東京23区を再編することも検討できるのではないかという著者の意見。
  • いずれにしろ、合併を国が推し進めるのは地方分権からは逆行するものであるとして避けるべきだろう。

道州制について

  • 道州制を強く主張する経済界、特に電力業界(実態として電力会社のブロック分けはほぼ道州制である)が原発事故などで政財界に強く意見できなくなっているのがなかなか進まない原因じゃないかという意見。
  • 道州制によって国の責務は外交と国防に寄ったものになる。行政サービスは道州と市町村が担うものになれば、真の地方分権社会が実現するだろうというのが狙い。
  • 大阪都構想道州制の先にある、道州 - 基礎自治体の二層構造の解説。大阪は解体され、大阪府大阪都大阪市もなくなるだろう、ということを市民は認識しているのかという著者の危惧。
  • 道州制の議論は一度しぼんでしまったが、著者は今一度メリット・デメリットを議論する価値があると指摘する。

首都移転は可能か

  • まずは世界の事例を見ながら首都移転の実現可能性を検討する。
  • 多くの国で首都に全機能が集中することには不満の声が上がっている
  • ワシントンは経済の中心ではない。韓国でも首都機能の一部を移転する動きがある。
  • 日本は東京23区内の大学が定員を増やすことを2018年〜2028年まで認めない方針を決定している。現在、大学生の41%は東京圏に、18%は23区内に集中している。
  • 批判もあるが、これからの首都機能の分散を考えればこれさえ実現できない限り無理だろうという著者の意見。

第三章 国策と地方都市

  • これまでの日本の歴史のなかで、国策によって地方都市がどのように栄え、衰退してきたかを江戸時代までさかのぼって考える章。
  • 江戸時代に人口が増え続けたのは都市ではなく農村だった
  • 農業こそが政治基盤であり、農村を守るために幕府は帰農令や人返し令などを出して都市から農村へ人を帰した。江戸などの大都市の人口増加は国策により抑制されていた。
  • 江戸の人口は男性過多で、住宅も狭かったため出生率が低かった。都市に人口が集中すると全体として自然減につながる。これは現代東京と通じる部分であるが、江戸時代は農村を重視していたのが違うところ。
  • 江戸時代から明治時代にかけて存在感を示したのは日本海側の都市。北前船による貿易の影響。その後130年かけて日本海側はだんだんと沈んでいく。多くの人が東京へ出稼ぎへいき、北海道開拓へいき、1900年台には太平洋ベルト地帯への流入が進んだ。
  • 国策により栄えた都市は、東京をはじめとする大都市を支えるための存在だった。人材供給源となったり、地方での利益が東京本社へと流れていく構造によって東京が栄えていった。

鉱業都市

  • 明治以降、石炭や金銀などの鉱山が日本産業を支えるようになったが、国のエネルギー政策の転換により一気に衰退した。
  • 北海道三笠市炭鉱都市として栄えたあと衰退したが、その後の政策によって他の炭鉱都市とは大きく変わってきている。魅力的な高校を作り、15歳の人口を伸ばすことに成功している。これが持続するモデルかどうかはこれから次第。
  • 軍艦島のように観光地への転換がうまくいくケースもあるが、身の丈に合わない開発で失敗する夕張市のような事例もあり、それぞれの地域と向き合った持続的な地域振興が重要である。だが、観光で生き残れる都市はそう多くはないという現実を受け止める必要はあるし、企業誘致も熾烈な競争になる。その意味で、外部に頼らず次世代を育てる施策をとった三笠市はもっと注目されるべき。

北海道

  • 国策により開拓と開発が進められたが、100年後のいま、函館市小樽市釧路市は人口減により過疎地域に指定されている。札幌市ひとり勝ち。
  • 新幹線効果は一時的になりがちであることを考える必要がある

第四章 都市間競争の時代へ

  • いま栄えている都市はどのような状況なのか、都市間の競争はどうなっているのかを知る章。
  • 日立市豊田市のように企業城下町として生き残っている都市と、亀山市のように一時繁栄したが沈んだ都市もある。企業城下町にはリスクもある。
  • 愛知県飛島村中部電力三菱重工トヨタなど大企業の施設が集まっている。人口は4400人程度だが昼間人口は14000人を超え、千代田区並みの昼夜人口比になる。財政力指数日本一であり、栄えているようにみえる飛島村も人口は減少中で、消滅可能性都市になっている。経済力だけでは地域は持続しない。

代表的なライバル都市の比較

  • さいたま市川崎市はどちらも明治時代には小さな町だったが、地の利を生かして100万都市のベッドタウンになった。
  • 東京を挟んださいたま市川崎市は同じように成長し、人口増加も同じような傾向を示している。子育て世代の割合も高いが、将来的にはその世代の高齢化が一気に進む。財政に余裕のある今のうちに大作が必要だろう。
  • 群馬県前橋市高崎市はライバル関係にあるが、両市とも人口減少を迎えている。合併の議論もあるが、古くからの確執もあり、実現するかどうかはわからない。
  • スポーツやビジネスでは競争は成長の糧となるが、都市においてはそうではないこともある。互いに似たような政策を取ることで共倒れすることもある。人口減少のなかで新たな施設を作るよりも県立病院や県立高校が縮小されていく流れにあり、それらを失う市町村は苦しくなる。都市間だけでなく都市と都道府県の関係、あるいは都道府県同士の競争も激しさを増していくだろう。

第五章 人口減少時代に生き残る都市の条件

  • 最後のまとめとして、第四章で述べたような競争のなかで生き残るための条件を考える章。この章は著者の意見や持論が割合多くなる。
  • 都市が栄えていることを人口増を切り離して考える必要があるだろう。中高年層の移住を進めても将来的には福祉の経費が財政を圧迫する。外国人労働者を受けていれても望ましい行政サービスを与えられないと社会問題になる。
  • 人口増を目指すのではなく、人口減の幅を小さくする、あるいは今より少ない人口でも持続する地域社会を目指す流れ。経済的な豊かさも、地域の身の丈にあった地域経営への転換が必要。
  • 定住人口だけではなく、交流人口や関係人口を増やしていく。地域のファンを増やすための努力。そのためには閉鎖的な地域コミュニティの意識を変える必要がありそう。
  • ふるさと納税が問題視されているが、寄付の文化が定着していない日本でこのような風習を生んだことは大きな貢献。大都市の税金の使われ方への不満の表れでもあり、ふるさと納税によって市民が自分の税金の使われ道を意識することは地域活性化にも役立つだろうと、著者の肯定的な意見。
  • 郊外への大規模ショッピングセンターの出店による空洞化現象は、自治体の都市政策を見直すべき。郊外に安く出店してまた次へ、という焼畑的なまちづくりは地域を枯らしてしまう。
  • 東京も災害に強い都市に作り変えなければならない。再開発による超高層ビルの乱立が進められているが、集中した人口を災害時に守る力はない。まずは国の機関から地方移転をはじめることで、経済の流れを変えていく必要があるだろう。

次に読む本

今回は地方都市を持続させる視点で日本を見たので、今度は日本という国を発展させる視点で書かれた本を読もう。 ということで、最近出版された落合陽一さんの「日本進化論」を読むことにする。

日本進化論 (SB新書)

日本進化論 (SB新書)

それでは。みんなも読書感想文見せてほしい。