余白

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皮肉屋とシステム

ここ数年で一番好きな映画は「マネーショート」(原題 "The Big Short") だ。

映画館でも2回観たし、Netflixにあったから頻繁に見てたんだけどなくなってしまった。今はGoogle Playで買って見ている。

役者もストーリーも演出も全部好きなんだけど、中でもひとつ心に残っていつも頭の片隅から離れないセリフがある。

元々バカなシステムなんだ (中略) 自分を見ろ 皮肉屋を気取ってもどこかでシステムを信じてる

ローンのデフォルトが増えているのに債権の価格が高騰するという、合理的に考えればありえないことが起きていた。 格付け機関も債権のランクを下げることなく、詐欺的なシステムが稼働していた。

作中のマーク・バウムはなぜ合理的に考えればありえない詐欺がまかり通っているのかと、ドイツ銀行のジャレド・ベネットを問い詰めた。その時にジャレドが返したセリフ。

ウォール街のシステムの崩壊を予期し、破綻に賭けて空売りを仕掛けた悲観主義の皮肉屋の彼らは、それでも格付け機関や銀行が正しく機能して正しく債権が暴落し、空売りが成功すると信じていたわけだ。 システムを疑いながらもどこかでシステムを信じている、この二律背反は気づかないうちに自分にも当てはまっていることが多い。


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2週間、宿泊費自己負担で8万人のボランティアを集めるためにやりがいをPR、どうかしている。 システムが狂っている。まともに考えたらこんなのでうまくいくわけがない。

最初はこう思うわけだが、この まともに考えたら ってのは、社会の合理性をどこかで信じていることの現れじゃないかと考えてる。 社会は まともに 運営されて稼働している、という観念が根強く響いてきている。 マイナンバー、新元号、まともじゃないものはいままで何度も見てきているのに、やはりどこかで信じてしまっている。

非合理的な社会はそこに確かに存在していて、だからこういった非合理的なシステムが生まれようとしていて、元になった社会自体が非合理なのだから、多分これは"まかり通る"んだろう。 なんだかんだ、詐欺的なシステムの上で、東京オリンピックは終了し、さまざまな形で負債を残していくんだと思う。祭りが終わるまでは誰も現実を見ないんだろう。

特に何か結論があるわけでもない話。おしまい。