余白

https://blog.lacolaco.net/ に移転しました

技術顧問デビューしました

すでにTwitterではお知らせしましたが、技術アドバイザーとしてClassiさんをお手伝いすることになりました!

t.co

Angularを中心に、Webフロントエンドについてのアドバイスをします。

きっかけ

例によってTwitterです。ほんとうにDMが来て、何度かオフラインで話して、年明けてから決まりました。

Twitter以外で仕事見つけたことないと言っても過言じゃない気がする

がんばります!

次世代Webカンファレンス振り返りと、話さなかったネタ集

次世代Webカンファレンス、お疲れ様でした!

nextwebconf.connpass.com

ありがたいことに2015年に続き、フロントエンドのセッションで登壇させてもらいました。 楽しかったですが、やはり80分のなかで話せることは限られますね... 次世代らしい話を求める期待に応えられたかはわからないですが、僕個人としては「まだ話せたな」というのは正直なところですね。 kobaさん、kazuponさん、takanoripeさんとはまたじっくり話したいです。

動画はYouTubeにアップロードされています。

www.youtube.com

内容の振り返りはひとりでやっても仕方ないので、当日に備えて用意していたネタ帳を一部公開してみます。

Webアプリケーション開発における "当たり前" の水準の変化

ちょっとだけ話せたネタ

  • 型がある開発は当たり前になってきた
  • 状態管理というものを気にするのが当たり前になってきた
  • コンポーネント設計(分類)をするのが当たり前になってきた
  • 無料のHosting、CDN
  • 無料で使えるVS Code
  • 無料のHTTPS
  • 次の当たり前はなんだろうか
    • Web WorkerやTaskletを使ったマルチスレッド化 GoogleChromeLabs/tasklets
    • チャンク分割と遅延読み込み
    • 今はまだ職人芸が必要でも、AIに仕事を奪ってもらうことで当たり前になる
    • 今の「やりすぎ」は次の「当たり前」になる。要求も上がる。そうして水準は上がっていく。

仕事の専門化、細分化、先鋭化

まったく話してないネタ

  • バックエンドのサーバーレス化が進んだ先にLambdaやCloud Functionなどを扱うのは今のフロントエンドエンジニアになりそう。そうじゃないとUIだけではユーザー体験の改善に及ぼせる影響は限られるから。
    • 今のバックエンドエンジニアの仕事の一部はフロントエンドエンジニアの範囲になるんじゃないか。Node.jsバックエンドがだんだんと市民権を得てきているし、自然とそうなっていく気がする。
    • そうなったとき、今のフロントエンドエンジニアもまた分裂しそう。レイアウトやCSSと向き合うフロントエンドofフロントエンド的な仕事と、アーキテクチャビジネスロジックと向き合うだろうバックエンドofフロントエンド的な仕事。その細分化の流れはこれから進みそうな気はする。

「Webらしさ」

これもまったく話してないネタ

  • 最近気になっていること:本来は静的なコンテンツを、アプリケーションとして実行しないとアクセスできなくなることへの危機感
    • Wordとかと同じ。コンテンツはそこにあるはずなのに、Officeがインストールされてないと読めない
    • HTMLもそうじゃんって言われたらまあそうなんだけど...
    • 20年前のテキストファイルにはアクセスできるのに、去年のWebメディアの記事がJSのエラーで読めない、とか。
  • 静的なコンテンツは静的にアクセスできることがWebがWebらしくあるために自然な形じゃないか。Webとは誰でも自由にコンテンツを作れて、そのコンテンツ同士のリンクが網目のようにつながっていくことで作られていくことに本質があるんじゃないか。
  • だからどうしようっていう考えがあるわけじゃなくて、単に気になってるだけ。旧世代Webじゃんって言われたらそうかもねってなるんだけど、個人的には諦めたくない。
  • ちょっと違う話。これは完全に夢なんだけど。ブログ、TwitterFacebookTiktokYouTubeなどさまざまなプラットフォームに分散した様々なコンテンツ同士をWebとして結びつけるのに、Web Componentsの可能性を考えている。
    • Tiktokが提供するタグをブログに置いたら動画プレーヤーが貼れるとか、Instagramに投稿した写真もタグで貼り付けたり。記事の引用なんかもタグを貼ることでただのリンクじゃない体験を与えられるかも。 <a> タグをアップデートできる存在じゃないか、という気はしている。iframeでもできたけど、より洗練された形に。
    • フレームワークやライブラリを隠蔽する境界としてのWeb Componentsという話はちょっとしたけど、さらにコンテンツのプラットフォームを隠蔽する境界にもなり得るんじゃないかっていう話

これ、前日にあれこれ考えてたらひとつ記事になっちゃったので、次世代のAngularについてはこっちを読んでください。

lacolaco.hatenablog.com

基盤の話

これもまったく話してないネタ

  • ブラウザは基盤だけど、さらに下の基盤も変わりそうだし思考実験くらい始めておいてもいいんじゃないかな、と思っている。
    • 5Gが当たり前になったとき、やらなくてよくなること/やらないといけなくなること って何があるだろう?
    • QUIC (HTTP3) が当たり前になったとき (以下略)
    • VR空間内でWebブラウザが開かれるようになったとき (以下略)
      • ブラウザがユーザーの背後にあることだってありえる。操作音の設計とか考えなきゃいけないんだろうなーとか。

GDPRとか。プライバシーの話

これもまったく話してないネタ

  • 今は人間が頑張って対応した・してる・しようとしてる
  • Cookie使うときにブラウザが自動で同意求めてほしい気もする。
  • これも新しい当たり前になるかも?

だいたいこんな感じのことを前日までぼんやり考えていました。

GoogleApple、あるいはFacebookとか、シリコンバレーが作る潮流にどうにか付いていって波を乗りこなそう、という受け身な態度になりがちですが、 Webの多くはオープンソースだし、通るかどうかは別としてたいていのことには意見できます。 まだ誰にも答えがないことこそ、日本でも議論する機会があれば議論して、どういうWebを作りたいかを積極的に訴えて変えていく姿勢も必要ですね。

日曜日に寒い中、朝からカンファレンスに来るほどみんなWeb大好きなんだから、 「Webがどうなるか」だけじゃなくて、「Webをどうしたい」をみんなで考える2019年にしていきたいと思う、いいイベントでした。

それでは。

「地方都市の持続可能性」(田村 秀, ちくま新書)を読んだメモ

2019年最初の読書は、2018年11月に出版された田村 秀さんの「地方都市の持続可能性 」

地方都市の持続可能性 (ちくま新書)

地方都市の持続可能性 (ちくま新書)

これは去年読んだ「行政学講義」の影響。 日本の国政と地方自治体の都市政策の間の関係に関心が湧いたので、まずは地方都市を中心に見た日本の姿を知ろうと思ってこの本を選んだ。

行政学講義 (ちくま新書)

行政学講義 (ちくま新書)

出版社のバイアスもあるはずなので、ちくま新書ばかり読んでる人にならないように気をつけたい...

本全体を通しての感想

著者自身の意見は少なめであり、数値データと都市の歴史を組み合わせた上で「なぜ今この都市は栄えて/衰退しているのか」を捉えていく過程は、納得感があってよかった。

けっして地方都市や日本の未来を楽観視はしないが、逆に悲観しすぎることもない論調。 夕張市を筆頭とする衰退する地方都市に隠れ、北海道三笠市のようにここ数年の政策によって若年層の誘致が進んでいる自治体もある。 これらの地域の間にどんな違いがあるのかを、個別のケースの特徴を押さえながら学んでいけた。

やはりポイントとなるのは東京一極集中による悪循環。経済だけでなく災害に強い国を作る上でも、中央官庁の分散は必要そうだと感じた。 地方都市の現状を客観的なデータをもとに知るにはおすすめの一冊だった。ぜひおすすめしたい。

内容のざっくりしたまとめ

第一章 データに見る東京ひとり勝ち

  • 国勢調査や各省庁、地方自治体などが公開している様々な数値データをもとに、現在の東京がどれだけ「ひとり勝ち」しているかを客観的に見る章。
  • 人口だけでなく経済活動、その他あわせて7つの指標で比較するが、時系列ごとの変化率も踏まえての評価は、著者の地道な労力を感じた。データそのものは誰でも手に入れられるものだが、このまとめ方はなかなか真似できないと思う。
  • 人口は3000人に満たない小さな漁村だが、北海道猿払村は徹底した資源管理で日本一のホタテ産地となり、稼げる漁業を実現している。村民の多くは高額所得者で、多いときでは村民の平均所得は780万円を超えることもあった。高齢化率も全国平均を下回り平均年齢は約45歳。稼げる仕事があれば地方でも若者は集まってくるし、小さくてもコミュニティは持続する、ということは間違いではなさそうだ。
  • また、人口が少ないが栄えている事例として大企業を誘致する例もあったが、これはその企業の城下町となり、企業の業績で地域が衰退することもあるため、諸刃の剣だ。
  • 東京に人口は一極集中しながらも、出生率は東京が最低であり、少子高齢化の原因の一端ではないかという考察。

第二章 誰が都市を殺すのか

  • 国や地方自治体がおこなう政策が都市に与える影響を考える章。
  • 2045年の数値予測を見ると、人口減少は一律に進むわけではない。 秋田県2045年には2人に1人が高齢者となる。東北地方自体の存続が危うい。
  • もっとも人口減少数が顕著なのは大阪市。2015年から2045年で28万人以上減る。大阪市に続くのが長崎、横浜、神戸、北九州などの政令指定都市や、横須賀のような軍港都市
  • これらの衰退に対してこれまで国は何をしてきたのか。

平成の大合併とはなんだったのか

  • 平成の大合併とはなんだったのか。単独では財政基盤が維持できない自治体が合体することを国が推奨し、補助金を出した。国主導であったことがポイント。
  • 合併について、行政側は業務の効率化を肯定的に見る声が多いが、合併により広域化した自治体のなかで中央部と周辺部のサービス格差が広がり、かえって活力を低下させているという住民側からの評価もある。
  • 本来合併すべきは、ともに栄えている地域同士を統合することで類似施設の無駄をなくすといった効率化を促す方向性であるはずなのに、弱者連合のように進められた平成の大合併は市町村がもともと担っていた住民に対する細やかな行政サービスを減らす方向に作用する。これを国が推進したことで地方衰退が進んだという見方。
  • 東京23区を再編することも検討できるのではないかという著者の意見。
  • いずれにしろ、合併を国が推し進めるのは地方分権からは逆行するものであるとして避けるべきだろう。

道州制について

  • 道州制を強く主張する経済界、特に電力業界(実態として電力会社のブロック分けはほぼ道州制である)が原発事故などで政財界に強く意見できなくなっているのがなかなか進まない原因じゃないかという意見。
  • 道州制によって国の責務は外交と国防に寄ったものになる。行政サービスは道州と市町村が担うものになれば、真の地方分権社会が実現するだろうというのが狙い。
  • 大阪都構想道州制の先にある、道州 - 基礎自治体の二層構造の解説。大阪は解体され、大阪府大阪都大阪市もなくなるだろう、ということを市民は認識しているのかという著者の危惧。
  • 道州制の議論は一度しぼんでしまったが、著者は今一度メリット・デメリットを議論する価値があると指摘する。

首都移転は可能か

  • まずは世界の事例を見ながら首都移転の実現可能性を検討する。
  • 多くの国で首都に全機能が集中することには不満の声が上がっている
  • ワシントンは経済の中心ではない。韓国でも首都機能の一部を移転する動きがある。
  • 日本は東京23区内の大学が定員を増やすことを2018年〜2028年まで認めない方針を決定している。現在、大学生の41%は東京圏に、18%は23区内に集中している。
  • 批判もあるが、これからの首都機能の分散を考えればこれさえ実現できない限り無理だろうという著者の意見。

第三章 国策と地方都市

  • これまでの日本の歴史のなかで、国策によって地方都市がどのように栄え、衰退してきたかを江戸時代までさかのぼって考える章。
  • 江戸時代に人口が増え続けたのは都市ではなく農村だった
  • 農業こそが政治基盤であり、農村を守るために幕府は帰農令や人返し令などを出して都市から農村へ人を帰した。江戸などの大都市の人口増加は国策により抑制されていた。
  • 江戸の人口は男性過多で、住宅も狭かったため出生率が低かった。都市に人口が集中すると全体として自然減につながる。これは現代東京と通じる部分であるが、江戸時代は農村を重視していたのが違うところ。
  • 江戸時代から明治時代にかけて存在感を示したのは日本海側の都市。北前船による貿易の影響。その後130年かけて日本海側はだんだんと沈んでいく。多くの人が東京へ出稼ぎへいき、北海道開拓へいき、1900年台には太平洋ベルト地帯への流入が進んだ。
  • 国策により栄えた都市は、東京をはじめとする大都市を支えるための存在だった。人材供給源となったり、地方での利益が東京本社へと流れていく構造によって東京が栄えていった。

鉱業都市

  • 明治以降、石炭や金銀などの鉱山が日本産業を支えるようになったが、国のエネルギー政策の転換により一気に衰退した。
  • 北海道三笠市炭鉱都市として栄えたあと衰退したが、その後の政策によって他の炭鉱都市とは大きく変わってきている。魅力的な高校を作り、15歳の人口を伸ばすことに成功している。これが持続するモデルかどうかはこれから次第。
  • 軍艦島のように観光地への転換がうまくいくケースもあるが、身の丈に合わない開発で失敗する夕張市のような事例もあり、それぞれの地域と向き合った持続的な地域振興が重要である。だが、観光で生き残れる都市はそう多くはないという現実を受け止める必要はあるし、企業誘致も熾烈な競争になる。その意味で、外部に頼らず次世代を育てる施策をとった三笠市はもっと注目されるべき。

北海道

  • 国策により開拓と開発が進められたが、100年後のいま、函館市小樽市釧路市は人口減により過疎地域に指定されている。札幌市ひとり勝ち。
  • 新幹線効果は一時的になりがちであることを考える必要がある

第四章 都市間競争の時代へ

  • いま栄えている都市はどのような状況なのか、都市間の競争はどうなっているのかを知る章。
  • 日立市豊田市のように企業城下町として生き残っている都市と、亀山市のように一時繁栄したが沈んだ都市もある。企業城下町にはリスクもある。
  • 愛知県飛島村中部電力三菱重工トヨタなど大企業の施設が集まっている。人口は4400人程度だが昼間人口は14000人を超え、千代田区並みの昼夜人口比になる。財政力指数日本一であり、栄えているようにみえる飛島村も人口は減少中で、消滅可能性都市になっている。経済力だけでは地域は持続しない。

代表的なライバル都市の比較

  • さいたま市川崎市はどちらも明治時代には小さな町だったが、地の利を生かして100万都市のベッドタウンになった。
  • 東京を挟んださいたま市川崎市は同じように成長し、人口増加も同じような傾向を示している。子育て世代の割合も高いが、将来的にはその世代の高齢化が一気に進む。財政に余裕のある今のうちに大作が必要だろう。
  • 群馬県前橋市高崎市はライバル関係にあるが、両市とも人口減少を迎えている。合併の議論もあるが、古くからの確執もあり、実現するかどうかはわからない。
  • スポーツやビジネスでは競争は成長の糧となるが、都市においてはそうではないこともある。互いに似たような政策を取ることで共倒れすることもある。人口減少のなかで新たな施設を作るよりも県立病院や県立高校が縮小されていく流れにあり、それらを失う市町村は苦しくなる。都市間だけでなく都市と都道府県の関係、あるいは都道府県同士の競争も激しさを増していくだろう。

第五章 人口減少時代に生き残る都市の条件

  • 最後のまとめとして、第四章で述べたような競争のなかで生き残るための条件を考える章。この章は著者の意見や持論が割合多くなる。
  • 都市が栄えていることを人口増を切り離して考える必要があるだろう。中高年層の移住を進めても将来的には福祉の経費が財政を圧迫する。外国人労働者を受けていれても望ましい行政サービスを与えられないと社会問題になる。
  • 人口増を目指すのではなく、人口減の幅を小さくする、あるいは今より少ない人口でも持続する地域社会を目指す流れ。経済的な豊かさも、地域の身の丈にあった地域経営への転換が必要。
  • 定住人口だけではなく、交流人口や関係人口を増やしていく。地域のファンを増やすための努力。そのためには閉鎖的な地域コミュニティの意識を変える必要がありそう。
  • ふるさと納税が問題視されているが、寄付の文化が定着していない日本でこのような風習を生んだことは大きな貢献。大都市の税金の使われ方への不満の表れでもあり、ふるさと納税によって市民が自分の税金の使われ道を意識することは地域活性化にも役立つだろうと、著者の肯定的な意見。
  • 郊外への大規模ショッピングセンターの出店による空洞化現象は、自治体の都市政策を見直すべき。郊外に安く出店してまた次へ、という焼畑的なまちづくりは地域を枯らしてしまう。
  • 東京も災害に強い都市に作り変えなければならない。再開発による超高層ビルの乱立が進められているが、集中した人口を災害時に守る力はない。まずは国の機関から地方移転をはじめることで、経済の流れを変えていく必要があるだろう。

次に読む本

今回は地方都市を持続させる視点で日本を見たので、今度は日本という国を発展させる視点で書かれた本を読もう。 ということで、最近出版された落合陽一さんの「日本進化論」を読むことにする。

日本進化論 (SB新書)

日本進化論 (SB新書)

それでは。みんなも読書感想文見せてほしい。

Angular Elementsの野望と、Angularに静的サイト用フレームワークがない理由

「Angularって静的なWebサイトを吐き出せる技術とかないんですか」という質問を受けることがたびたびあります。 例えばGatsbyやGridsome、Next.js、Nuxt.jsなどのようなものですね。 サーバーサイドレンダリングの仕組みは自体はすでにAngular Universalがありますし技術的に難しいことではないので、コミュニティのなかでAngularベースで静的サイトを作るための新しいフレームワークが生まれてくることはあるかもしれません。 しかし僕の個人的な見解では、少なくともAngularチームが公式に提供することはないと思っています。

ではなぜAngularチームはそこにフォーカスしないのかということについて、今Angularが向かっている方向と一緒に理解してみましょう。

いまあるWebに溶け込んでいく

2017年の後半あたりから、Angularチームの主眼は静的なWebとの融合になってきました。 これまでAngularはSingle Page Applicationの開発を堅牢でスケーラブルにおこなうための一貫したフレームワークを提供してきました。 その文脈では一定の完成度に達し、開発者からも支持されるようになりましたが、Webの世界は広大で、その大半はいわゆるドキュメントとしてのWebサイト、Webページです。 WordPressをはじめとするCMSによるコンテンツがWebの大部分を構成しています。

そうしたWebのなかでAngularにできることを考えた結果が、Angular Elementsです。 Angularはアプリケーションではなくコンポーネントを開発するための基盤としての側面を持つようになりました。 Angular ElementsによってAngularコンポーネントからCustom Elementsを生成し、そのタグを静的コンテンツのなかに組み込んでいくことができます。 いまあるWebをそのままに、AngularとCustom Elementsがその体験を拡張していきます。

実例として、Angularの公式ドキュメンテーションサイト angular.io では、Markdownで管理されているドキュメンテーションのなかに書かれた独自タグが、Custom Elementsとして起動してリッチなコンテンツを提供しています。 <code-example> タグはAngular Elementsで作られたCustom Elementsとして存在しています。

## heroes コンポーネントを作成する

Angular CLIを使用して、`heroes`という名前の新しいコンポーネントを生成します。

<code-example language="sh" class="code-shell">
  ng generate component heroes
</code-example>

f:id:lacolaco:20190113000151p:plain
code-example 要素はAngular Elementsで作られたCustom Element

技術的な課題

Angular Elementsのアプローチの概念実証として angular.io が作られましたが、バンドルサイズの課題がありました。 現状の実装では、Angular Elementsが依存するAngularコアランタイムが大きく、複数のAngular ElementsをWebサイトから読み込むのにパフォーマンスへの悪影響がありました。

これを解決するのがIvyで、Ivyが導入されればAngular Elementsが依存するAngularコアランタイムを最小限にとどめ、バンドルサイズを数KBに抑えることができるようになります。

まとめ

今後もAngularで静的サイトを作るためのフレームワークが生まれることは、少なくとも公式にはないでしょう。 Angularチームは、いまあるWebをAngular Elementsで拡張していくことを目指しています。 Custom Elementsはフレームワークに依存しないので、Angular Elementsで作成したタグをGatsbyやNuxt.jsなどで作られたサイトで利用することもできます。 タグを使う側からすれば、そのタグがAngularで作られていることは知る必要のないことです。

Angular Elements + Ivyによって、Angular Elementsの開発体験とユーザ体験を高めることが2019年の主要なテーマのひとつです。 Angularは単なるSPA開発フレームワークではなく、あらゆるWebのユースケースに対応できる開発プラットフォームとしてこれから進化していくことでしょう。

[追記] Nuxt.jsは静的サイトジェネレータ以外の用途もあるという指摘で、冒頭の部分で誤解を生みそうな点を教えてもらったので、修正しました。

ゆく年くる年 2018

2018年の振り返り

イベント

主観的には多くもなく少なくもない感じです

大規模

  • 3月 MANABIYA (登壇)
  • 6月 ng-japan (主催・登壇)
  • 9月 GDG DevFest Tokyo 2018 (登壇)
  • 11月 Chrome Dev Summit (参加)
  • 12月 Frontend Conference Fukuoka (登壇)

小規模

  • ng-sake #11
  • Web Components Cafe #2
  • HTML5とか勉強会 #69
  • Infragistics Distinct
  • Angular MokuMoku Night #1
  • Angular MokuMoku Night #2
  • ng-sake #12
  • Angular MokuMoku Night #3
  • ng-sake #13
  • bitbank LT Night #3
  • Frontend de KANPAI! #5

アウトプット

スライド

前半まで Slides.com を課金して使ってましたが、課金で嬉しいのが非公開状態で保存できることだけだったので、Googleスライドに切り替えました。 自分用のマスタースライド作ってコピーしながら使ってます。

slides.com

slides.com

slides.com

slides.com

docs.google.com

docs.google.com

docs.google.com

電子書籍

GitBookですが1冊、少しずつ書いてる途中です。

Angular After Tutorial - Angular After Tutorial

技術ブログ記事

年初は全部Mediumに書いていくつもりでしたが、日本語ははてなブログ、英語はMediumに切り分けました。

medium.com

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lacolaco.hatenablog.com

lacolaco.hatenablog.com

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blog.angularindepth.com

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lacolaco.hatenablog.com

出来事

プライベート

lacolaco.hatenablog.com

パブリック

lacolaco.hatenablog.com


2019年の目標

イベント

主催を少し減らしていきたい。 Angular日本ユーザー会の理想としては、僕がたくさんイベントを立ち上げるよりも、コミュニティの中で自発的に勉強会やイベントを主催してくれる形を目指したい。 ユーザー会は陰ながらアドバイスや支援、主催者とスピーカーのネットワークとして支えて、コミュニティの質と量を上げていきたい。 そうして広がったコミュニティの集会として、年に一度のng-japanは単に学ぶというよりも、楽しいものにしたいですね。 どうしたら自発的に勉強会やイベントを主催したくなるか、そうしたところを今考えている最中です。

登壇のほうでは、東京以外での登壇を増やしたいと思ってます。各地のGDGなど、チャンスがあればぜひ全国行きたいですね。お声がけしてもらえると喜びます。 東京ばかりで登壇していると、毎回来る人にそれほど差がなくて、自然と毎回違う話題にしないといけない気分になるんですよね。再演しにくい。 違う場所で、マイナーアップデートで少しずつ改良を続けながら同じテーマで発表するというのが、エコかなあと考えてます。スライドをゼロから毎回作るの大変なんですよ。

あと、もしCFPが通れば海外での登壇もやりたいですね。5月のng-confにCFP出してますが、他にも積極的に出していきたい。

アウトプット

もうちょっとブログは頻度を上げたいですね。 英語記事を先に書いて、その日本語版を出す流れにしようとおもってるんだけど、英語記事書いたところで力尽きてまだ2本ほど日本語版を書けてない。 同じ内容を両方に書く意味あるのかなというのもあるので、まだ試行錯誤中。 英語で書くのは結構先鋭的な内容になりがちで、日本語のコンテンツとして求められてるのはもう少し中級者向けくらいのベストプラクティス感ある話かなと思ってるので、 引き続き Angular After Tutorialは拡充していきます。

もしよかったらPatreonで支援もらえるとモチベーションが上がります!

www.patreon.com

その他

2018年は年初の目標通りけっこう読書をしたので、2019年も引き続き読書を続けていきたいです。 現在の興味は、司法や行政、立法から生まれる法力の中で社会や経済が駆動しているそのメカニズム、力学について。あとは地方経済や地方都市の活性化について。 分野的には行政学行動経済学とか行動心理学が近そう。

きっかけはこの本です。かなり面白かったのでおすすめです。

行政学講義 (ちくま新書)

行政学講義 (ちくま新書)

あと、お金の話。去年こんな記事を書いた。

lacolaco.hatenablog.com

今年は何かとお金がかかるイベントが多かったので資産運用の進捗はあんまりよくないんだけど、いろいろバラけるよりも今はFOLIOに集約している最中。 来年は毎月積み立てていく感じの投資を再開するつもり。 最近始まったおすすめ投資では国内だけじゃなくて海外株式や金とかもポートフォリオに入るので、今はちょっと市場荒れてるけど来年の成長に期待したい。

それでは良いお年を。