読後メモ: 『教養としての政治学入門』
いつもの読後メモです。
今回読んだのは成蹊大学法学部著の「教養としての政治学入門」。 成蹊大学法学部の教授陣の共著本になっている。

- 作者: 成蹊大学法学部
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2019/03/06
- メディア: 新書
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感想
まさしくタイトルの通り、さまざまな政治学のテーマに広く浅く触れられるいい本だった。 日本のことだけではなく海外の話もたくさん書かれており、いままで知らなかった各国の歴史的な政治の特徴や現代の課題を知ることができた。 なぜそのような政治体制を選択するに至ったのかという経緯の部分も書かれていて、前提知識はそれほど要求されなかった印象。世界史の基本的なイベントさえ抑えておけば大丈夫だった。
日本に住んでいると日本の政治の良くない点がよく目に入るので他の国が羨ましくなることも時々あるが、隣の芝生は青く見えるだけで、それぞれの国にそれぞれの課題があるんだなあと、当たり前のことを再認識できたので非常に読んでよかった。かなりおすすめできる一冊。
印象に残ったフレーズ
政治は面倒でひたすら手間がかかる。だが、それを引き受けることこそが、野蛮から離れる叡智である
政治とは野蛮から逃れる叡智である、というフレーズはけっこう沁みた
アメリカの大統領制は、権力とその担い手に対する徹底した不信感に基づいて設計されていた。権力の担い手が、少数派であれ、多数派であれ、王であれ、貴族であれ、民衆であれ、信用することはできない。今日的に言えば、政治家も、官僚も、裁判所も、第三者機関も、専門家も信用することはできない (中略) アメリカでは、政治運営上の効率性への志向よりも、政治権力に対する不信感が強いということなのであろう
アメリカの政治の基本的な構造、効率を捨ててでも権力の腐敗を避ける。うまくいっているかどうかは別として納得した。
参議院は関連法案を否決することで事実上予算に対する拒否権をもつのである。(中略) 予算関連法案を否定したり、内閣不信任決議と同様の効果をもつ問責決議を用いることで、参議院は、事実上、政府も引きずり下ろすことができた。衆議院が選出する首相と内閣を、参議院が否定すれば、循環が起きることになる。二〇〇〇年代後半から二〇一〇年代前半にかけてみられたのはこうした事態である。参議院によるこのような制度の運用は、内閣の不安定化をもたらした。憲法上の想定を超える強さを参議院は示していたことになる
これはまったく知らなくてかなりびっくりした。中学校では「衆議院の優越」と習っていたはずなのだが、現在の日本の国会は圧倒的に参議院が優越している。
日本で一般に経験されたのは「なしくずし」の「戦争から戦後への移りかわり」だったのではないかという観察であった。それは、「私状況」と「公状況」の関係性、「個人体験」と「国家原理」の関係性が原理的に十分に反省されず、ずるずると戦争に巻き込まれ、敗戦を迎え、民主化を受け入れたことを意味する (中略) その帰結は、「誰もが無差別、無限定に被害者であり、誰もが『だまされていた』という奇怪な結論」である。そこでは、「すべてわるいのは国家であり、その国家からは被害者体験をテコとして自分を切り離すことは容易にできたから、『だましていた』責任の主体は、それを構成する人間を欠いた国家という得体の知れない抽象体でしかあり得ない」ことになった。このような状況においては、国民の一人一人が「国家の敗北を自分自身の屈辱として」受けとることもない代わりに、「自分が真に戦争遂行者であると自覚」することもない
日本の戦後について。日本は戦争に負けた後、敗戦に失敗したんだなと感じた。国民全員が被害者となっていろんなものに蓋をしてしまったんだろう
日本やヨーロッパでは科学者の知見に基づいて解決を図るべきと考えられることの多い環境問題も、宗教的争点として位置づけられることがあるのが、アメリカの興味深い所である
まさか地球温暖化問題が宗教的に争点になっているケースがあるとは想像もしていなかった。 気候の変動は神の意思なのだからそれに人間が逆らえるなどおこがましいという話は、そういう立場があると知った上では理解はできるようになった。
次に読む本
次に読む予定の本は「対話をデザインする」。ちくま新書好きなので。

対話をデザインする ──伝わるとはどういうことか (ちくま新書)
- 作者: 細川英雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2019/06/28
- メディア: Kindle版
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Angularのゼミを作りたい話
ふわっと考えていることの書き起こし。
最近、Angularのゼミのようなものを作りたいと思っている。
目的はいくつかあって、Angularのコントリビューターを増やしたいし、Angularについて日本各地でしっかり話せる人を増やしたいし、まだ僕一人しかいない日本のAngular GDEも増えてくれるとうれしい。 つまり、仕事で使いこなしたいとかそういう次元を越えて、Angularへの愛に突き動かされる同志を増やしたい。 しかしそういった人物をどのように見つければいいのか全くわからず、いろいろと考えている。
最初からそんな状態の人はいないだろうという前提に立って、僕が導き手にならないといけないだろうなとは思っている。 ただ、愛は他人が何かしてどうこうなるものでもないので、モチベーションというか素質というか熱量というか、そういう「心」的なものは育てられないと思う。 教えられることといえば知識とその獲得方法といった「技」の部分しか無いと思う。
世の中でそういうスペシャリストになりたい人を導いている場って先行事例が何かないかを考えると、まず思い浮かんだのは大学のゼミ。 学生それぞれが自分の研究テーマを持ち、その研究について専門的な知見を持ってサポートしてあげる場が思い浮かんだ。 Angularについても同じように、極めたいと思う人を迎え、その実践を支えてあげられる場をつくりたい。
よくある勉強会のような発表者ー聴講者という構図ではなかなか道のりが遠い。 関心を持ってもらう効果はあっても、その中からもっと深く知りたいと思っている原石を見つけるのは難しい。
もし「Angularのことが好きでスペシャリストになりたいと思っているけど知識や経験が足りていない」という人がいたとしたら、これは僕の役目として導いてあげないといけないと思う。 でも具体的にどうしたらいいのかまだわかっていない。 ということで、もしそういう人がいたら僕に連絡をください。TwitterのDMはいつでもオープンにしてあります。
いまざっくり考えてるのは、10人以下の研究会を定期的な開くこと。メンバーもある程度の期間の間は固定する。 全員がテーマを持って参加し、対等に議論しながら考えを深めてもらう。 そういう「場」を作れたらいいなと思っているけど、いつごろ動き出せるかは未定。
以上、書き起こし終わり。
AngularコンポーネントにおけるSingle State Streamパターンの紹介
Notionに書きました (まだはてなブログでNotionのOGP展開対応されてない...)
https://www.notion.so/lacolaco/Angular-Single-State-Stream-2f1bd9fb0fc348dfba78d068134fce9b
ng-sake #14 を開催しました
6/27 に開催した ng-sake #14の運営レポートです。
会場
今回は初の試みとして、スペースマーケット で借りた浅草のカフェレストラン well 浅草 を会場にしました。
開催中の様子はこんな感じです。
非常にいい雰囲気で、リピートしたくなる会場でした。 ドリンクはお店が提供してくれるので準備しなくてよかったのがGoodです。
アンケート
会場で集めたアンケートの結果です。
お金の話
今回もKyash or 現金の参加費受付をしました。 いままではURLをconnpassにおいてましたが、今回は現地決済に限定してQRコードを置くことにしました。 このために買ったミニホワイトボードも活躍してくれました。
ロフトで買ったミニホワイトボードに、カッターで大きさを整えたクリアファイルをはめ込んで、印刷したQRコードを挟めるようにしたプチDIYです。いい出来。
収支
今回のng-sakeは 募集30人、最終参加申し込みは28人、実際の参加者は27人(laco除く) でした。相変わらずの参加率で助かります。
参加費は Kyash 13人、現金 14人、ということでほぼ50%がKyashでした。お金の扱いが楽になり助かります。
かかった経費と収支は以下のとおりです。フードをちょっと頼みすぎて足が出ちゃったので次回はもう少し調整します。
次回
会場をお金で解決し、ドリンクをお店に任せた結果だいぶ準備することが減ったので、同じ調子で次は8月をめどに準備します。 できれば同じwell 浅草さんでやりたいと思ってますがまだ未定です。
参加してくれたみなさんありがとうございました!またお会いしましょう!
AngularにおけるAtomic DesignとNgModule
Notionに書きました(未だにはてなブログにNotionのURLを貼っても正しく展開できない...Twitterカードは対応してるんだけど)
https://www.notion.so/lacolaco/Angular-Atomic-Design-NgModule-52b1c99892e44e0ba032a1da7fbd7f50