余白

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読後メモ: 『OKR』

いつもの読後メモです。

今回読んだのはクリスティーナ・ウォドキー著、二木 夢子訳の「OKR」。Tablyの及川さんが監修している。

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

感想

OKRはKaizen Platformにいたときに使っていたけども、改めて原典(?)を読むと知らなかったことや勘違いしていたこともあり、間違いを正せてよかった。 何よりも大きな学びは、OKRは毎週トラッキングすることがとても重要だと認識できたことだった。 3ヶ月間の目標を立ててそれを3ヶ月後に振り返るだけでは意味をなさないということをはっきり理解できた。

文量も少なめで、OKRを導入している会社で働いている人であれば、どのようなロール、ポジションの人でも必読だと思った。

内容はこれからOKRを導入しようとしている組織のための教科書となるようなものだ。物語調のイントロダクションは没入感を与えてくれて、その後の章ではいろいろな会社のリーダーからの寄稿をまとめながらOKRの導入におけるケーススタディを与えてくれる。非常に良いバランスの本だった。

以前から存在は知っていたが、この本を一度読んだかどうかでOKRへの向き合い方は大きく変わるだろう。

印象に残ったフレーズ

現代のチームのほとんどは〝機能の工場〟になっていて、その機能が実際に根本的な問題を解決するのかどうかを考えていない。進捗は、 結果 ではなく 生産量 で評価される。

アウトプットではなくアウトカムで考えよう、という話。

数字にこだわらない人を鼓舞して動かすのがO。数字にこだわる人に対してOの現実味を示してくれるのがKRだ。朝ベッドから飛び起きてやる気が湧いてくれば、いいOを設定できているということだ。もしかしたら達成できないのではないか、と少し心配になれば、適切なKRだといえる。

OKRのOとKRのイメージ。わかりやすい。

やるべき仕事に意味を持たせ、疲れていても脱線しないようにするプロセスが必要になる。やる気が出ないときでも、やるべきことを思い起こさせてくれるプロセスだ。当初のOKRシステムは、ストレッチ・ゴール(さらに上のゴール)を賢く設定する方法にすぎなかった。しかし、コミットメント、お祝い、チェックイン・ミーティングなどの周辺システムのおかげで、仕事をするよりクッキーが食べたい気分のときでも、ゴールに向かって歩きつづけることができる。

意志力は有限だ、という話の一節。目標に向かって進み続けるには、やる気のような不安定なものに依存しなくても強制的に背中を押してくれる仕組みが必要。その方法論としてのOKRだ。

OKRの推進は、唯一の仕事ではない。唯一実行しなければならない仕事だ。日常業務については部下を信頼し、ありとあらゆるタスクをOKRに詰め込まないように注意しよう

よくある「OKRに入っていないことはやらなくていいのか」という問いには、この一節が答えになる。OKRはTODOリストではなく、TODOリストの優先度を決めてくれる指針になるはず。

次に読む本

リーダーシップやチームビルディングなど組織論的な本を立て続けに読んできたので、ここらで一旦方向転換する。 次に読む予定の本は「教養としての政治学入門」にする。ちくま文庫好きなので。

教養としての政治学入門 (ちくま新書)

教養としての政治学入門 (ちくま新書)